『七つの子』を聴きながら
有名な童謡、『七つの子』は野口雨情さんの詩。
いろいろ解釈に問題があるようで、「七つ」を「七羽」、「七匹」と同じように、古巣のなかにいるカラスの子どもの数だろう、と理解しようとする人たちと、「七つ」を「7歳」と同じように、古巣のなかにいるカラスの子どもの年齢としてみなそう、とする人たちに意見が分かれているという。
たとえば、ここで、「七つ」を古巣のなかにいるカラスの子どもの数として理解すると、普通カラスは3個から4個しか卵を産まないそうなので、「七つ」産んだというのはカラスの生態系から観ると、特殊な場合になるだろう。
だが、全く事例がない訳ではない。
かっては『おそ松くん』のような六人兄弟は稀ではなかった。ただ、「六っ子」となるとどうか。「七っ子」となると、それだけで充分に脅威、話題になるのに違いない。
『七つの子』のなかで、野口雨情さんにそちら(巣の中の子どもの数)を強調する趣旨はなかったような気がする(感じ取れない)。
「七つ」を古巣のなかにいるカラスの子どもの年齢として理解すると、普通カラスの子は1ヶ月で巣立つそうなので、カラスの生態系からすると、ますます怪しくなる。
詩の言葉で表現して丸い顔をしたいい子は七年間もニートをしている訳であり、普通のご家庭なら、巣のなかはゴミ箱、あるいは毎日のように親子喧嘩になって然るべきなのではないだろうか。丸い顔をしたいい子が不治の病に犯されていたのなら別なのだけれど。
野口雨情さん、ご本人にお伺いするのが早道なのだろう。だが、もう、とっくに他界されておられる。
だから、現時点では、「七つ」をどのように把握するのかは、あくまでも聴く側の印象となるはずである。
まず、この歌を聴いてみたい。YOU-TUBEにあるので、そこから借用しよう。歌詞もインターネットから借用させていただき、載せよう。そこから、ささやかながら、わたしの<印象>も付け加えさせてください。
七つの子
野口雨情作詞・本居長世作曲
烏(からす)なぜ啼(な)くの
烏は山に
可愛(かわ)い七つの 子があるからよ
可愛(かわ)い 可愛(かわ)いと 烏は啼くの
可愛い 可愛いと 啼くんだよ
山の古巣(ふるす)へ いって見て御覧(ごらん)
丸い眼をした いい子だよ
<印象>
この詩は読まれたらわかりますように、烏(からす)なぜ啼(な)くの、という質問から始まっている。多分、子どもが道を歩いていて、カラスの鳴き声を聞いて、側にいた御両親に尋ねたのだろう。
後のフレーズはすべて、烏(からす)なぜ啼(な)くの、という子どもの質問に対する御両親の答えとなる。
『七つの子』は質疑応答形式なのであり、まず、この構成をおさえることが大切なのではあるまいか。
烏(からす)なぜ啼(な)くの、という子どもの質問に対する御両親の答えは二つ。
「烏は山に
可愛(かわ)い七つの子があるからよ
可愛(かわ)い 可愛(かわ)いと 烏は啼くの」
ここまでが<解答1>。
「よ」「の」という言葉で終っているから、この答えは女性、お母さんの言葉なのではないでしょうか。結論から言えば、お母さんは烏(からす)なぜ啼(な)くの、と聞いたご子息を見ておっしゃっただろうから、「烏は山に(あなたのような)可愛い七つの子があるからよ」というニュアンスにならないでしょうか。或いは、あなたと同じくらいの、という意味が含まれているのでしょう。
そう考えると、「七つ」は、主語はカラスですが、直接は、自分の子どもを指していることにならないでしょうか。
<解答1>を受けて、<解答2>が続きます。
「可愛い 可愛いと 啼くんだよ
山の古巣(ふるす)へ いって見て御覧(ごらん)
丸い眼をした いい子だよ 」
「ご覧(ごらん)」「だよ」という語尾ですから、答えの主は男性、たぶん、一緒に歩いていたお父さん、野口雨情が浮かび上がってきます。
この<解答2>は、烏(からす)なぜ啼(な)くの、という子どもの問題提起の解答としてはやや外れますが、作者(野口雨情)が最も言いたかったこと、この詩の主題なのではないでしょうか。
主題、それは容易に読み取れます。
「山の古巣(ふるす)へ いって見て御覧(ごらん)
丸い眼をした いい子だよ 」
一度、田舎だけど、我が家にお立ちよりください。
可愛いんだぁ。
この詩が出版されたときは、作者は先妻と離婚し、子どもたちを連れて、その「山の古巣」から引越しして生活していました。
ただ、先妻と結婚してすぐに、茨城県の人なのですが、相当長い間、自分の家を離れ北海道に出向き新聞記者をします。樺太にも行きました。
いわば、旅ガラスですよね。
作者(野口雨情)もある意味旅ガラスだったわけで、たぶん、結婚直後から始まる北海道時代に、新聞記者の同僚に毎日のように子どものことを話していたのではないでしょうか。
この詩から、実にしみじみとした父親の子どもに対する愛情・思いがわたしには伝わってくるのでした。




















































